Project
進行中のプロジェクト
NESSENTIAL PROJECT

PJT01 ×京都芸術デザイン専門学校

2023.03.27

コロナ禍が契機となって、植物に対して関心を持つようになった人が増えているようだ。しかし、植物との共生が一般化する一方、私たちはあることにも気づく。水やりの頻度や日照条件など、その植物が好む環境を学ばないことには、大きく育てることは難しく、誤った対応をすれば、うっかり枯らしてしまうことにもなりかねない、ということを。

サステナビリティという言葉が市民権を得て久しい昨今、それについてのさまざまなテクノロジーやアイデアが世界中で生まれている。しかし、それらをよく知らないまま扱うことのリスクについて、言及されることは少ないように思える。植物を育てるのと同じように、テクノロジーを生かす術を学ばないことには、そのポテンシャルを花開かせることができないのではないだろうか。

そんな問いから、NESSENTIAL PROJECTでは「学び」を大切なキーワードのひとつとして掲げている。サステナブルなテクノロジーがうまく社会に受容されるよう、受け手となる人々の学びを深めていくことで、社会実装をブーストさせていく。とはいえ、プロジェクトはまだ始まったばかり。まずは今回、「学び」についての一つ事例をご紹介させていただこうと思う。

今回のプロジェクトパートナー、京都芸術デザイン専門学校ファッションクリエイトコースの2回生は、近い将来、ファッション産業に携わることを目指している学生たち。同コース担当教員の武田先生よりお問合せを頂いたことをきっかけに、産学連携プロジェクトを半年かけてご一緒させていただくこととなった。

学生たちは卒業制作展「K展」に向け、「サステナブル」をテーマにしたブランドを企画し、制作を予定。Bioworksはそのプロセスにおいて、講義やPlaX素材の提供、企画に対する講評・アドバイスを実施する、という内容だ。ファッション産業が与える環境負荷は広く知られていて(巷では世界で2番目の汚染産業と言われている)、その課題解決のアイデアは常に待ち望まれている。今回のプロジェクトで学生たちは、サステナビリティについての学びを通して、それらを活かす術を体得し、新しい視野の獲得を目指していく。その視野はいずれ彼らがファッション業界に携わることになったとき、サステナビリティを実装させるための武器になるはずだ。

なお、実物制作のために提供させていただいたPlaX生地はサンプルの着分残と呼ばれるもので、当プロジェクトは、学生たちが端材に新しい意味を与える「アップサイクル」プロジェクトとしての一面も持ち合わせている。

そんなこんなで、昨年7月に始まったプロジェクトも、2月はじめの「K展」で無事に終わりを迎え、初日に足を運んだ会場では、学生たちそれぞれの創意工夫によって生まれた「サステナブル」に出会うことができた。学生たちの表現はまさに十人十色で、どこかで合理的なアイデアに収斂していくかと思ってしまっていた自分が恥ずかしい。クリエイティビティ溢れるとても素晴らしい展示だった。

ある課題に対して、私たちはついつい、ひとつの最適解を求めがちだ。しかしながら、今回の学生たちは課題に対し主体性を持ち、時間をかけてアイデアを醸成させることで、どれも誤りではない、さまざまな解を提示してみせた。その時、その場所によって最適解は異なる。VUCAと表現されるように、特に移り変わりの激しい世の中を私たちは生きている。答えは一つではない。学生たちの展示を通して、私たちにもそんな「学び」を与えてくれる展示であったようにも思う。

最後に、このプロジェクトの終了後、学生たちにアンケートをお願いしてみた。プロジェクト前にサステナビリティについて意識することはあったか?という問いに対し「はい」と答えた方は、4人に1人に過ぎなかったものの、プロジェクト後はおよそ1.6人に1人が、意識や行動に変化があったと回答してくれた。まだ、この変化は小さなものかもしれないが、この変化が連鎖し、大きな輪となっていくことをNESSENTIAL PROJECTは引き続き目指していきます。

NESSENTIAL PROJECT パートナー募集のお知らせ
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